カテゴリ
以前の記事
2011年 02月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 09月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2004年 11月 2004年 10月 ライフログ
メモ帳
最新のトラックバック
検索
フォロー中のブログ
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
神戸大の高橋先生は、開発と援助は共通する点が多いものの別個に考える必要があり、開発学と同時に、援助学の構築が必要であるという点を主張していたことを記憶しています。
援助が必ずしも開発(援助成果)に結びつかないことは広く認知されています。それは、援助のファンジビリティという言葉に表れているように、資金の流用可能性が存在しているからです。また、援助は、時として開発のために利用されず、独裁政権の維持や国内紛争を助長する側面もあります。 援助のプロセスは以下の図が分かりやすく説明しています。 出所:Bourguignon and Sundberg(2007) 援助は、開発途上国の政策形成過程に大きな影響を及ぼします。ここでは、援助効果=開発(成果)と解釈できます。その開発と援助のブラックボックスの中身をこの図は示しています。ここでは、近年指摘されているように開発途上国のガバナンスやオーナーシップがその鍵となっているようです。今回は、このブラックボックの入り口である、ドナーから開発途上国の為政者へと渡る援助の過程を中心に見ていくことにします。 さて、開発と援助の歴史的変遷については、高橋(2006)が興味深い指摘をしているので、そのレビューをここでは示していきたいと思います。戦後、宗主国と植民地という援助関係が続いていたわけですが、それは次第に資本主義対社会主義という対立軸変化していきました。植民地からの脱却により新興国が多く誕生した1960年代・1970年代には、新国際経済秩序(NIEO)に見られるように、国際社会においてもそれらは冷戦と相まって無視し得ない存在となってきました。先進国の好景気とオイルマネーの新興国への還流によって支えられた新興国の発展は、石油危機や米国の金融政策等により、累積債務や財政危機が顕在化し、停滞の時代を迎えます。 その解決策として、世界銀行・IMFによる構造調整レジームが台頭し、コンディショナリティによる援助の政治化や新自由主義経済路線の拡張が促されてきました。これは、従来の冷戦だけが援助の根拠付けではなくなり、累積債務や財政危機といった問題が先進国の新自由主義経済を拡大する上での課題となり、援助協調の基盤形成に役立っていたという見解が指摘されています。 冷戦終結後、構造調整レジームが新自由主義経済を幾分か推進したものの、貧困問題は依然として存続し続けていました。また、先進国では一向に援助効果が出ないアフリカの開発に対する援助疲れの様相を呈してきました。そこで、援助を効率に利用し、効果を最大化させるために先進国による援助協調が進んでいきました。これが今日の貧困削減レジームへとつながってきます。 高橋先生の論文では、この構造調整レジームから貧困削減レジームへの移行プロセスがやや不明確な気もしますが、自分なりに解釈すると、貧困削減レジームの裏にも新自由主義経済的な思想が見え隠れするように思えます。それは、90年代に入り、一層経済のグローバル化が進展する中で、構造調整レジーム下での世銀・IMFのような公的機関が国際経済を運営する力を持ちえなくなり(それはまるで、世銀・IMFが途上国の政府の役割を縮小したのと同じように)、それでもなお、グローバル化の進展とともに自由主義経済は拡張し続けているという状況を示しています。貧困削減レジームは、自由主義経済の拡張を補完する、もしくはその障害を取り除くための口実とも解釈できそうです。 しかし、その思惑がどうであれ、高橋先生の指摘するとおり、貧困削減レジームとそれに伴う各国の援助協調は、援助国の国民にも受け入れやすく、援助のコストを縮小し、援助効果を最大化させるという援助国の利害の一致によるものであると考えられます。そうした中で、セクター・ワイド・アプローチや一般財政支援という援助協調の枠組みが構築されつつあります。そうした関係は建設的でもありますが、なんとなく不安定な関係でもあるように思えます。 援助を巡る議論は、多国間、二国間といった国家間の政治力学と、おそらくその要因ともなっている国内政治の構造にも依拠しています。それと同時に、経済のグローバル化や国家・人間の安全保障という従来型の国際政治の枠組みを超えた展開を示しています。 まだまだ勉強が必要です。
by tekisyu
| 2007-02-07 00:24
| 国際開発・協力
|
ファン申請 |
||